【レポート】10th ICLEE 2019 (International Conference on Landscape and Ecological Engineering)

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 10月31日~11月2日にソウル国際大学、壇国大学にて開催された10th ICLEE 2019に、Shwe Yee Lin(D3)、長谷川逸人(M2)が参加しました。本大会のテーマは「Resilient city responding to changing environment」でした。韓国・台湾・日本・中国から約60名の方が3日間のプログラムに参加しました。
 学会1日目は、ソウル国際大学にてZhu Weihong先生(延辺大学)から中国・北朝鮮・ロシアの国境に生息するトラのモニタリングの研究について、橋本禅先生(東京大学)から環境シナリオの1つPANCES (Predicting and Assessing Natural Capital and Ecosystem Services) projectの紹介と国内での事例についてKeynote lectureがありました。その後、ソウル大学の学生の案内によるキャンパスツアーに参加し、ソウル国際大学の図書館や、屋上庭園、学内で販売している蜂蜜の巣箱などを見学しました。

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 学会2日目は、柴田先生(京都大学)とKim先生(壇国大学)から開催のあいさつがあった後、Kuitert Wybe先生(ソウル国際大学)からIUCVでも提案されているNature Based Solutionsについて、夏原先生(名古屋大学)からは里山環境における生物多様性と水田の機能を中心とした生態系サービス、農法の違いによる生物多様性への影響について、Ho Lichih先生(Tunghai大学)からはAIによる景観評価について、一ノ瀬先生(慶応義塾大学)からは、熊本県阿蘇地域における地域循環共生圏プロセスについて発表がありました。午後からはポスターセッション、口頭発表が行われました。口頭発表は3つのセッションに分かれ、私とリンさんはSession1「Ecological and social sustainability」にて発表に臨みました。長谷川からは、“Green Infrastructure Management for Biodiversity conservation of Satoyama landscape in Fukutsu, Japan”(福津市里山環境を対象とした生物多様性保全を目的としたグリーンインフラマネジメント)というタイトルで発表いたしました。生態系サービスの変遷に着目して地域の方々へのインタビュー調査やワークショップの解析を行い、里山環境をグリーンインフラとして保全していくための協働の仕組みについて述べました。リンさんからは“Urban children’s play environment in Myanmar and Japan”(ミャンマー及び日本の都市における子どもの遊び環境)というタイトルで発表を行い、ミャンマーの旧首都であるヤンゴンの小学生を対象としたアンケート調査に基いて発表を行いました。本大会においてリンさんは、口頭発表賞を受賞されました 。

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 学会3日目は、水原市にてエクスカーションが行われました。エクスカーションでは、Gwanggyo Lake ParkとSuwon Hwaseong(水原華城)を訪れました。Gwanggyo Lake Parkは韓国最大の湖水公園で、里山の植生が残された都市緑地です。周囲は高層マンションの建設が急速に進められており、湖水公園は生物の生息環境としてだけでなく多くの人々が利用できる公園として機能していました。Suwon Hwaseongは18世紀に水原市の中心部に建造された要塞であり、場内を走る観光列車に乗って全体を見学することができました。

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今回は私(長谷川逸人)にとって初めての国際学会での口頭発表でした。今回のICLEEでは、私と同じように初めて国際学会の場での口頭発表に取り組んだ学生の方も多く、挑戦しやすい機会だったと思います。国際学会は国内外、別のフィールドでご活躍されている先生方や学生の皆様に自分の研究を見ていただくだけでなく、また直接意見交換を行うことができるため、とても勉強になる機会です。準備を進めてくださったICLEEスタッフの皆様、当日の誘導や案内などしてくださった韓国の学生の皆様にお礼申し上げます。また、学会発表に向けてご指導いただいた伊東先生、須藤先生、リンさん、韓国で研究のお話とソウル市内のご案内をしてくださった徳島大学の鎌田先生、朝波さん、重ねてお礼申し上げます。ありがとうございました。今回の学会での反省点を活かし、次回の学会での研究発表に臨みたいと思います。
(文章:長谷川逸人)